魚離れについて
魚食文化の大切さに気づいてほしい。。
日本人にとって大切な魚食文化

近年食卓において「魚ばなれ」が深刻化しています。
長年魚に携わってきた店主は現場において年々強く感じています。
日本人と魚
例えば一日あたりの魚介類の摂取量は、平成9年から平成19年にかけ18.3%減少し平成18年には肉類摂取量が魚介類摂取量を上回りました。魚離れや大手スーパーなどの進出だけでなく、漁獲量の減少(1987年1200万トンをピークに、2012年には1/3の400万トンに減少)も影響し、鮮魚小売店は、この 25 年で 63%減少し、1982年 53133店から 2009年には 19713店まで激減いたしました。 従来日本人は、近海で獲れる新鮮な魚を中心とした食生活・食文化を発展させてきました。海に囲まれた日本の食生活は、豊富に獲れる近海魚が中心で、体に必要な栄養を様々な魚料理を工夫する事で摂取してまいりました。近年では魚料理による様々な健康や病気予防への貢献が検証・実証されており(DHA・EPAなど)改めて魚を中心とした日本料理の素晴らしさが認められております。また世界で日本の料理、とりわけ魚を中心とした料理に注目が集まっています。特に世界中で健康指向がすすむ現在、魚料理の持つ健康効果が実証され需要も高まっています。しかし残念なことに、その日本で魚料理がどんどん減少しています。 食生活の激変で従来食卓の中心であった魚料理が減少し、肉中心の欧米型料理へと変化しました。その結果、高脂肪・高コレステロールになりがちな肉中心の欧米型食生活が中心になり、栄養が偏りがちになるだけでなく、生活習慣病の増加や、子どもたちの肥満などの問題が指摘されるようになってしまいました。



■魚離れの3つの原因

1 核家族化
私は魚食文化をとりまく環境変化の最も大きな第一の原因は、核家族化だと思います。 平成19年度の統計では全国単身世帯が 29.5%、2 人世帯が 25%に達しています。核家族の典型的モデルは高齢者の居ない世帯ですが、そのため祖父母等に魚料理を提供する必要がなくどうしても子ども中心のメニューとなってきます。 また姑や母親などから料理を教えてもらう機会も少なくなります。さらに女性の社会進出 「兼業主婦」の増加が重なり、子育てと仕事に追われる中でどうしても時間のかからない料理が好まれるようになってしまいます。調理を簡易にする電子レンジなどの調理家電が普及したこと、冷凍食品等が普及したこともその傾向に拍車をかけました。反面、魚料理は手間がかかり、調理等にコツが必要というイメージからどんどん敬遠されるようになってしまいました。その結果、レトルト食品・パスタやパンなどの欧米型食品・肉を中心とした料理が食卓の中心となり、魚を中心とする料理が減っていきました。

2  鮮魚小売店の減少 先に記したように年々鮮魚店が減少しております。 むかし鮮魚店の店先で交わされた「今日は何がおいしいの?」「もう初鰹が入ったんだよ」といった会話に代表されるように鮮魚店は単に魚介を売るというだけでなく、旬のおすすめの魚介を取り揃え、その魚のおいしさや特長、料理法やおいしく食べるコツなどの情報を対面で消費者に教える役割を果たしてきました。しかし店の減少により鮮魚小売店からの情報が無くなった現在、主婦にとって魚料理はますます身近ではなくなっています。

3  魚の料理方法がわからないこと 核家族化・鮮魚店の減少の結果、多くの主婦が魚料理に親しむ機会がないまま母親になってしまいました。30 代の主婦で「よく魚を自分でおろす」のはわずか 4.8% しかいないという集計があります。約70%が自分で魚をおろすことがほとんどなく、そのうち約4割が「全くない」となっています。理由として、「おろし方がわからない」という回答がトップになっています。

一方で30代主婦に、今後の魚介料理の利用意向を尋ねると「食べる回数を増やしたい」54.1%と半数以上がもっと魚料理を食べたいと答えています。そして「魚はからだに良いから子どもにもっと食べさせたい」と 90.8%が回答しました。さらに「自分がもっと魚料理をつくれば、食べる機会が増えると思う」と73%が回答しています。子どもを対象にした調査でも、「お母さんが色々な魚料理を作れば、もっと魚の料理をたべると思う」と回答した子供が 71.1%に上りました。
魚離れデータ2魚離れデータ3
つまり魚離れがすすむ現在でも、多くのお母さんが魚料理を作りたいことがわかります。便利さを追求した結果失われた魚料理文化が、ようやく見直されつつあるのだと思います。今後健康指向・本物指向がますます高まる中で、この傾向はさらに強まると思います。
このお客様のお声にどうお応えするかが我々鮮魚店のこれからの使命だと思います。これまでも当店では店頭において様々な情報(旬な魚の説明、料理方法、提案、アドバイスなど)をお客様にお伝えしてきましたが、もっと効率的にお伝えする方法の必要性を痛感しております。

■今後もっとも懸念されること

魚料理をしない家庭に育った子供は、さらに魚離れを起こす。
このことは、このままの状態が続くと、さらに魚離れが進む事を意味します。
昭和30年高度成長期以降、核家族化・女性の社会進出・食の欧米化などによりご家庭における魚料理の割合が減少してしまいました。さらに魚離れが始まった昭和30年以降に子供時代を過ごした世代が、今後どんどん子育て世代を迎えた事で、ますます食卓での魚離れが加速しています。通常、「魚の加齢効果」-(年齢を重ねるごとに肉よりも魚の摂取量が増す現象)により年齢を重ねるごとに魚食を好み食卓に魚料理が多くなります。しかし食生活が大きく変化した昭和30年代に子供時代を過ごした世代はあきらかに「魚の加齢効果」が現れず、親世代になった以降も相変わらず欧米化した料理(肉中心)で子供を育てます。10歳までに食べたものがその後の味覚に影響するといわれている中、今では親世代から始まった魚離れを次世代が受け継ぐ形で、今後さらに魚離れは深刻になっていくと思います。

さらに、食文化の変化が及ぼす影響も心配されます。昔より日本人は、魚を食べることで「うま味成分」と言われる繊細な味わいを舌に記憶させてきました。 “魚介のうま味”は、まさに日本の魚料理が生み出し継承してきた日本の食文化そのものです。その長年培ってきた日本の食文化が、近年の魚離れにより“うま味”を感知する能力が低下が進む事で今後次世代に引き継がれなくなっていくのではと心配しています。また約半数の子供が“正しく箸を使えない” 現状も食卓に魚料理が並ばなくなった事が原因と思います。「魚離れ」により「箸が使えないこどもたち」が増え、さらに箸が使えないからますます魚を食べなくなる、そういった悪循環が進行する事も懸念されます。



これからの取り組み



新鮮な魚をお求め安い価格で提供する、この考えを基本に営業しております。 そのため毎朝店主自ら中央市場に出向き、その時々の旬で新鮮な魚を目利きして仕入れております。当店魚祥が、昭和の時代からの多くの固定顧客さまにご支持いただけているのは、近隣他店の商品とは新鮮さが違うからと自負しております。


また昨今の魚離れ や 核家族化 の風潮に対応するため調理しやすい加工品なども多く取りそろえております。さらに一人暮らしの高齢者や独身者の方が食べやすいように少量パック化、半調理での提供などお客様目線を第一に商品をご提供しております。
とくに近隣地域では多子高齢化により子育て世代の若い主婦の方が多いので、店頭でのお声かけ活動(旬のおすすめ魚の紹介、調理の方法、保存の方法など)を積極的に行なっております。


その中で、本当はお子様に魚料理を食べさせたいのに魚料理が苦手というお母様が、「おかげで魚料理の頻度が増えた、ありがとう」と喜んで下さる事が多くなっております。 今後お母様方のお子様の健康のため魚料理を増やしていきたいというご要望にお応えし、私たち鮮魚専門店はそのためのお手伝いをどんどん実施していきたいと思います。