魚介類の栄養素

魚介類や海藻類には、ビタミンやカルシウムなどの人の健康に必要な栄養成分の他、健康増進に役立つ機能成分が豊富に含まれています。日本は世界でトップレベルの長寿国で、それを支えているものの一つが「魚食」の文化であると言っても過言ではありません。

DHA


まぐろ、さば、ぶり、いわし、さんま、さわら、鮭、ハタハタ、あじ、このしろ など
■効能効果
脳視覚機能調節、抗腫瘍・免疫調節、抗血栓、脂質代謝改善、抗動脈硬化、血圧低下防止など
■不足すると起こる症状
高脂血症や動脈硬化、生活習慣病、認知症発症リスク、など 
■特に摂取すると良い人は・・・
妊娠中女性、成長期の方、認知症予防、生活習慣病予防
 
1989年のクロフォード博士の学会発表によってDHAへの注目度が高まりました。血圧や中性脂肪・コレステロールの低下効果、アトピーやアレルギー、がん(癌)や情緒安定への効果も期待されています。認知症・アルツハイマー型認知症の予防に魚を1日に1回以上食べる人と比べると、全く魚を食べない人は5倍の確率でアルツハイマー性認知症を発症するという調査結果が出ました。
 

EPA


マイワシ、クロマグロ脂身、サバ、真鯛、ブリ、さんま、さけ、あじ など
■効能効果
血栓予防、過剰な免疫反応や炎症の抑制、高血圧予防、身体持久力向上 など
■不足すると起こる症状
欠乏症と定められた症状はまだないようですが、子供から大人まで全ての年代の人が摂取することが望ましいとされています。
■特に摂取すると良い人は・・・
生活習慣病・動脈硬化・血栓が気になる人
 
EPAには赤血球の膜を弾性を持たせるため毛細血管まで血液がスムーズに流れるようになります。EPAには動脈硬化や血栓の形成などで心臓病や脳梗塞などのリスクを低減させることができると考えられています。厚生労働省では1日1g以上の摂取を推奨しています。

 

 
■ビタミン群

ビタミンとは私たちが健康な生活を営むために、食品から栄養素として取り入れなければならない無くてならない栄養素です。
 

ビタミンA


あんこう、うなぎ、魚の肝臓全般、ぎんだら、あなご、いか、いわし、まぐろなど
■効能効果
粘膜等の強化、抗がん作用、目の健康
■不足すると起こる症状
角膜乾燥、網膜機能低下、夜盲症、肌あれ、皮膚疾患、免疫低下
■特に摂取すると良い人は・・・
がん・動脈硬化・心臓病予防、暗いところで見えにくい、風邪をひきやすい、肌があれる、授乳期の女性、など。
 
皮膚や目の健康に欠かせない栄養素です。
 

ビタミンB12


しじみ、はまぐり、あさり、いわし、あんこう、いわし、かき、さんま、にしんなど
■効能効果
貧血予防(造血作用、赤血球生成)、成長促進(たんぱく質・核酸の合成)
■不足すると起こる症状
貧血
■特に摂取すると良い人は・・・
さまざまな食材に多く含まれているため通常欠乏症となることはあまりありません。
ただし動物性の食物のみからしか摂取できないため菜食主義の人は注意が必要です。
また胃に障害がある人は欠乏症に注意が必要です。
 
細胞内のたんぱく質や核酸の合成を促進・修復します。ビタミンB12が不足すると血を作る機能が低下するため、赤血球が減ってしまったり、異常に大きな赤血球が作られてしまったりして貧血の原因となり、下半身にしびれを起こしたりもします。さらに進行すると、運動失調などの神経障害が起こります。
 

ビタミンD


いわし、すじこ、いくら、まぐろ、かわはぎ、鮭、にしん、うなぎ、ひらめ、まぐろ など
■効能効果
筋肉の形成・維持、歯・骨の形成
■不足すると起こる症状
骨粗鬆症やくる病、骨軟化症、歯・骨の発育不良など
■特に摂取すると良い人は・・・
日光に当たらない方や高齢の方などは積極的に摂取するように心がける。
 
骨や筋肉の維持に欠かせない栄養素ですが、通常の食生活であれば不足することがありません。
 

ビタミンE


あゆ、たらこ、いわし、うなぎ、たい、かれい、はまち、うなぎ、えび、するめ、いかなど
■効能効果
発がん抑制、アンチエイジング・抗酸化、老化防止、血管強化・血行促進
■不足すると起こる症状
貧血、不妊
■特に摂取すると良い人は・・・
生活習慣病、および生理不順の方、更年期障害にお悩みの方に効果が期待できます。
 
血行を働きを良くするため頭痛・不眠・冷え性・肌あれ防止に効果があります。脂質と同時に摂取することで吸収率があがります。
 

 

 

■ミネラル

ミネラス(無機質)とは、酸素、炭素、水素、窒素を除くすべての元素の総称です。ビタミンと同様私たちが健康な生活を営むために必要な栄養素です。
 

カルシウム


煮干し、ししゃも、ちりめんじゃこ、イワシ丸干し、わかさぎ、干しえび、しじみ、しらす干し など
■効能効果
骨や歯の形成と強化、血液凝固、筋肉収縮、神経の興奮抑制
■不足すると起こる症状
骨や歯の発達障害、骨粗鬆症、神経過敏、過剰な興奮、神経の高ぶり
■特に摂取すると良い人は・・・
骨粗鬆症の方、成長期の方、閉経後の女性など
 
人体中で最も多いミネラルです。ビタミンDと同時摂取で吸収率が大幅に上がります。カルシウムは慢性的に不足気味で骨粗鬆症などの原因となっています。慢性的にカルシウム不足になると、肩こりや腰痛、イライラなどの神経過敏状態の原因になります。
 


カツオ・マグロの赤身や血合い、いわし、ぶり、さば、あじ、あさり など
■効能効果
赤血球の働きを助ける。栄養が体中に運ばれやすくなるため疲れにくくなります。
■不足すると起こる症状
貧血、全身的な諸症状(動悸、食欲不振、疲れやすい、だるい、頭痛、など)
■特に摂取すると良い人は・・・
成長期の方、月経のある女性、妊産婦など
 
特に血液の働きをよくするミネラルです。しかし吸収されにくいミネラルなので、ビタミンCやビタミンEを多く含む食材と同時摂取するなど、摂取効率を高めることが重要です。特に赤身の魚には吸収されやすい鉄分が多く含まれています。
 

亜鉛


牡蠣(かき)、ほや、たいらがい、はまぐり佃煮、いかなご、たらばがに、たらこ、しゃこ
■効能効果
たんぱく質、核酸の合成促進 酵素の働き促進(体の成長促進) 
■不足すると起こる症状
成長障害、味覚障害、感染症へ抵抗力低下、月経不順、
■特に摂取すると良い人は・・・
小児、妊婦、高齢の方
 
亜鉛は、新陳代謝、たんぱく質合成、免疫反応に関係する成分となります。亜鉛は体内で様々な点で働くため、不足すると様々な症状が出ます。ビタミンCと同時摂取することで吸収率が上がります。
 

セレン


あじ、かつお、かつお節、わかさぎ、ほたて、あんこう肝、たらこ、くろまぐろ、うるめいわし、まがれい、うに
■効能効果
抗酸化作用、がんの抑制
■不足すると起こる症状
下肢筋肉痛、皮膚の乾燥、心筋障害、毛の脱毛など
■特に摂取すると良い人は・・・
 
セレンを特に魚介類に多く含まれます。ビタミンCやビタミンEと同時摂取することで吸収率が上がります。体内生成された毒性のある過酸化物質を分解する酵素成分として細胞の老化を抑制する働きがあります。
 

 

タウリン


さざえ、かき、ほたて、タコやイカなどの軟体類、エビやカニなどの甲殻類 など
■効能効果
うっ血性心不全改善・肝機能改善、血圧上昇帽子、疲労回復 ・網膜機能向上、抗炎症作用など
■不足すると起こる症状
肝臓・心臓の機能低下・高血圧など
■特に摂取すると良い人は・・・
新生児、血圧・心臓や筋肉が気になる方
 
動物性食品、特に魚介類に多く含まれています。バランスの良い食生活ではタウリンが不足することはありませんが、偏った食生活でタウリンが不足すると高血圧や、肝臓・心臓の機能低下などが起こる可能性があります。
 

アスタキサンチン


鮭、いくら、えび、かに、おきあみ など
■効能効果
抗酸化作用、免疫力の強化、糖尿病・脂質異常症の予防 など
■不足すると起こる症状
特に報告されていません。
■特に摂取すると良い人は・・・
老化が気になる方、生活習慣病が気になる方
 
アスタキサンチンは、赤色魚介類に多く含まれる色素成分です。
カロテノイドには強い抗酸化力があり、眼精疲労や、筋肉疲労をはじめ、ガンなどいろいろな病気に対する予防効果効果が期待されています。
 

イミダゾールジペプチド


まぐろ・かつお等の赤身、かじき類 など
■効能効果
疲労回復、生活習慣病予防、活性酸素抑制・抗酸化老化、持久力・運動能力向上、 など
■不足すると起こる症状
イミダゾールジペプチドの欠乏症は確認されていないようですが、慢性化した疲労を放っておくと、全身の倦怠感・慢性的な頭痛、肩こり・冷え・生理不順などの身体的な不具合に発展したり、集中力や思考力、判断力の低下、意欲や気力の低下、些細なことにもイライラするなどの精神的な不調につながることがあります。 
■特に摂取すると良い人は・・・
生活習慣病が気になる方、肉体の疲れがとれない方、また運動選手など
 
イミダゾールジペプチドは特に抗疲労力に効果があります。
カジキやカツオ、マグロ等に多く含まれています。